旅するマラカス

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原作厨だけど、うる星やつら再アニメ化を「大昔のアニメの焼き直し」とは言ってほしくない

寅年の始まりに合わせてうる星やつら再アニメ化が発表されたことはわりとホットなニュースだと思う。

代表作が良アニメ揃いのスタッフ、クオリティの高いキャストのティザー、4クール押さえ済みでエピソードは原作から抜き出したものを放映することが決定済ということに漫画うる星やつらファンの私は狂喜した。


しかし、テンションが上がってうる星やつら再アニメ化についての世間の声を調べたところ、「大昔のアニメを今さら焼き直して何になるのか」という意見が散見されたので、なるほど、と思った。たしかに世間一般的に見ると今回のアニメ化はありがちなリメイクという感じなのだろう。けれどそれは違うんだよ、と言いたい。

今回のアニメは、「漫画」うる星やつらにとっては初のアニメ化に等しいと原作厨の私は感じている。


言いたいことをざっとまとめる。

・旧アニメはオリキャラやオリジナルストーリーがふんだんに盛り込まれ、テンポやノリが原作とはかなり異なる(原作の短い1話をオリジナル要素で膨らませているので原作ファンからするとテンポが悪く感じられる)

・原作はあまり時代感を感じさせない仕上がりだが旧アニメは良くも悪くも昭和の男性オタク臭がすごい

→旧アニメファンはそこが好きなのだろうが、原作厨としては、時代を感じさせない魅力のある作品がいきなり古びてしまったような気持ちになってしまった

加えて原作の繊細さがアニメでは押井守臭にかき消されてしまったのが遺憾だった


★つまり

旧アニメは原作とはかなりテイストが異なり、平成〜令和の人間が見るとテンポの悪い仕上がりになっているため原作厨としては不満の残る作品だった


原作準拠でうまくつくってくれるのなら今見ても40年のギャップを感じさせない面白さのあるアニメになると思うので、原作のテンポ感でアニメ化してほしいと願っている

さらにこれを機により多くの新規ファンが増えたらいいなと思う



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原作厨を連呼しているが私はうる星やつら世代では全くない。るーみっく作品が大好きだが、犬夜叉世代ですらない20代女だ。父親がうる星やつらファンで、物心ついた頃に読んだうる星やつらに衝撃を受け、そのままアニオタとは少し異なるうる星やつら厨になった。その後、鋼の錬金術師ジョジョ進撃の巨人などさまざまな名作を好きになったけれど、どんなに素晴らしい漫画やアニメに触れた後でも、うる星やつらを読み返すと、思い入れを除いても面白いな、と感じるのだ。

しかし、アニメだ。

旧アニメは旧アニメで熱狂的な信者が多く、それ自体がコンテンツとして独立しているのは理解はしているのだが、旧アニメの魅力である昭和オタク感は、原作のうる星やつらの大きな魅力である、時代を感じさせない独特の作風を見事に潰しているのだ。

まあ、原作も7巻くらいまでは昭和テイストが強く、いまいち面白くはないかな?という話もちらほらあるのだが、20巻代くらいになると、絵柄や物語が完全に独自の世界観を作り上げていて、永遠に連載できるドラえもん並みの域まで達している、といち原作厨は思っています。


そんなわけで、幼少期からうる星やつら=旧アニメ=昔のオタクが好きだった古い話でしょ?という認識に不満があり、うる星やつらの再アニメ化が夢だった原作厨としては、今回のアニメ化は泣くほど嬉しいです。スタッフの顔触れ的にも封神演義の二の舞にはならなそうなので期待しています。アニメがはじまったら新規の評判をTwitterとかで調べたいけど、「メガネの出番が減って寂しい」とか「あの時代は戻ってこない」とか「内容が(旧アニメと)違う、こんなのうる星やつらじゃない」みたいな旧アニメファンの嘆きで溢れかえってそうなのでやめておきます。