旅するマラカス

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英語で読まされたアシモフとオーウェルはSF的体験をもたらしたかもしれない

今週のお題「SFといえば」今週のお題「SFといえば」

多くの人がそうであるように、私のSF原体験は、ドラえもんだった。

その後、涼宮ハルヒの憂鬱やら藤子・F・不二雄のSF短編集やらにはまり……とまあオーソドックスな漫画、ラノベ好きヲタクチョイスなのだが、本ブログで敢えて固有の体験として語りたいのは、違う作品だ。

私が通った公立高校は、ちょっと教育に燃えている進学校で、英語教育にも力を入れていた。

その取り組みの一つとして「ホームリーダー」というものがあった。

名作の洋書について、原著よりやややさしくした版である「ホームリーダー」を中間テスト、期末テスト、長期休み明けテストまでに読んで内容を理解しておかなければいけない、なぜならテストに出るから、というクソめんど……意識の高い取り組みである。

ただ、「ホームリーダー」は名作揃いだったため、ラノベと漫画三昧のふやけた生活を送っていた私に最低限の教養をくれた。

SFの名作、ジョージ・オーウェルの「1984」とアイザック・アシモフの「I,Robot」(われはロボット)に出会えたのも「ホームリーダー」のおかげだ。

と言いつつ、私の英語力では、物語のディテールを理解しきれなかった。

1984」はテーマがオチというか、比較的シンプルだったためギリギリ内容を理解できたが、「I,Robot」に至っては短編集だし途中わけわかめ(死語)だった。

確か「I,Robot」に関してはズルをして英語版に目を通した後和訳本を読んでしまったのだが……。

不思議なことに、和訳本の内容や言い回しはあまり頭に残っていない。未だに頭に残っているのは、英語で読んだときのまだらな(しかも間違いだらけの)理解や認識だ。

なんか土星出てきた!女が騒いでる!なんかぶっ殺した!
このロボットめっちゃいろんな人にペラペラ話しかけるじゃん。うわっなんかこのおっさん感じ悪いな。なるほど、こういうオチね。

低い英語力で読んだSF洋書は、不思議な宇宙あるいは近未来世界を描いたSFジャンルであるがゆえに、中身がぶっ飛んでるのか私の理解が誤っているのかよく分からず、関心したり疑ったり、忙しい気持ちにさせられた。

度の合わないメガネをかけてクラクションのうるさい大通りを手探りで歩くような、あるいは熱を出した日の悪夢のような、苦しみが脳を駆け巡った。

しかしそれは、私にとって、ある種唯一無二のSF読書体験だった気がする。

未知との遭遇・交流はまあ、SF的であると言えるでしょう。